地域包括ケアシステムが進む中で、ケアマネジャーが担う役割はますます広がっています。
ケアマネジャーは高齢者の在宅生活を支えるために、ケアプラン作成やサービス調整はもちろんのこと、家族や関係機関との連絡、医療機関との橋渡しなど多岐にわたる業務を行っています。しかし現場では、本来業務に含まれない「シャドーワーク」に追われてしまい、時間や精神的負担が大きくなるという課題が顕在化しています。
ここでいう「シャドーワーク」とは、報酬が発生しないにもかかわらず、利用者の生活を維持するために必要となる事務手続きや支援のことです。
(シャドーワークの例)
・病院への緊急搬送後、家族がいないためにケアマネが代わりに入院手続きを行う
・施設入所時の契約書類に保証人が必要だが、誰も署名できずケアマネが奔走する
・サービス利用料の支払いが滞り、事業所から督促が来るが家族や代理人が不在のため対応を迫られる
こうした対応は、利用者のためを思えば断れないことも多く、結果としてケアマネ自身が時間外労働やストレスを抱える原因になっています。
実際、居宅介護支援及び介護予防支援における平成30年度介護報酬改定の影響に関する調査研究事業(令和元年度調査)においても、以下のとおり、「ケアマネジメント業務以外で、必要に迫られ、やむを得ずに行ったことがあること」として、「入院時の付き添い」が、30.4%、「救急車の同乗」が16.1%、「預貯金の引き出し、金銭の預かり」が6.4%にものぼっています。

目次
■ 増える「おひとりさま」高齢者とケアマネの負担
近年、身寄りがない、もしくは家族が遠方に住んでおり支援が受けられない「おひとりさま」高齢者が増え続けています。
現在、単身高齢者は800万人を超え、2050年には1080万人に達するとも推計されています。

こうした状況の中で、入院や施設入所時に必要となる「身元保証人」の存在が問題となっています。
家族がいない、連絡が取れない、トラブルがあって頼めない・・・
こうしたケースでは、病院や施設側も受け入れが難しく、結果としてケアマネが仲介役として動かざるを得ません。
たとえば、ある利用者が転倒して骨折し、緊急入院が必要になったとします。
病院は「入院保証人がいないと受け入れできない」と説明しますが、利用者には頼れる親族がいません。
このままでは入院できず、ケアマネが病院と施設、地域包括支援センター、そして遠方の親族との間で何度も電話連絡を取り、場合によっては書類のやりとりを代理で行うこともあります。
この一連の作業は報酬にならないうえに時間がかかり、本来のケアプラン作成などの業務が後回しになります。こうしてケアマネが本来業務とシャドーワークの板挟みになり、結果として燃え尽き症候群や離職につながるリスクも指摘されています。
■身元保証サービスがもたらす解決策
こうした課題を解消する手段として、注目されているのが「身元保証サービス」です。
これは、専門の身元保証会社が契約に基づいて、病院や施設で必要となる保証人の役割を担う仕組みです。
具体的には以下のようなサポートを提供します。
1. 入院・入所時の保証人代行
– 緊急入院時にも迅速に保証人として対応
– 入院時の付き添い、救急車の同乗・対応
2. 生活支援サービス
– 通院付き添いや買い物代行など、日常生活に必要なサポート
3. 金銭管理・支払い代行
– 介護サービス費用や医療費の支払いをサポート
– 滞納防止にもつながる
4. 死後事務の対応
– 葬儀や遺品整理、役所への届出まで一括でサポート
ケアマネにとっての最大のメリットは、身元保証の部分を外部に委ねることで、シャドーワークが大幅に減ることです。
入院や施設入所時に「保証人がいない」という理由で受け入れが止まることがなくなり、スムーズに利用者の支援を進めることができます。
■ケアマネが本来業務に専念できる環境づくりを
ケアマネジャーは、地域で暮らす高齢者の生活を支える要として重要な役割を担っています。
しかし現場では、身元保証人不在による入院・入所の遅れや、支払いトラブルなど、本来業務とは異なる負担が大きくのしかかっています。
身元保証サービスをうまく活用すれば、
– ケアマネが抱えていたシャドーワークを軽減
– 利用者は安心して医療・介護サービスを受けられる
– 施設や病院はスムーズに受け入れができる
という三方よしの環境が実現します。
今後ますます「おひとりさま」が増える中で、ケアマネが燃え尽きずに働き続けられる仕組みづくりは急務です。身元保証サービスは、その有力な選択肢の一つと言えると思います。
ケアマネが本来の専門性を発揮し、利用者一人ひとりに寄り添った支援を行うためにも、身元保証サービスを積極的に検討していくことが求められています。
■優良な事業者として「あかり保証」という選択肢を
「あかり保証」は、運営母体が弁護士・司法書士等の士業という、数少ない高齢者等終身サポート事業者です。契約時の説明・実際の業務についても、士業によってなされています。
また、士業が母体となることで、公正証書の作成等の契約手数料を外部委託する必要がなく、自社で対応可能なため、シンプルかつ手頃な料金体系でサービスを提供することができます。
加えて、利用者様の預託金は、信託口座で管理しているため、万が一の場合でも安全に保管されます。さらに、大手身元保証事業と異なり、「あかり保証」は寄付を一切頂戴しておりません。
政府のガイドラインの全事項を遵守している「あかり保証」は、見守りサービスの事業者様、介護事業者様とも連携して、あかり保証内の看護師・ケアマネジャーとともに、利用者様の意向に寄り添った幅広いサービスをご提案しております。
身元保証に関する相談などは、下記からお気軽にお問合せください。ご相談料は無料で、弁護士・司法書士・ケアマネジャーが対応いたします。
■お問合せフォーム
https://www.akarihosho.jp/contact/
■関連記事(ケアプラン作成時にインフォーマルサービスを組み込む理由と、そこから見える「身元保証サービス」の可能性)
https://www.akarihosho.jp/column/420
監修者
■株式会社あかり保証 生活支援スタッフ ケアマネジャー・介護福祉士
砂原仁(HITOSHI SUNAHARA)
鳥取県で、介護福祉士・ケアマネジャーとして、医療法人、社会福祉法人での勤務や地域包括支援センターの管理者を務める中、地方が抱える問題の一つとして、一人暮らしであったり、子供と疎遠で連絡がつかなかったりする高齢者の住処が定まらない身元保証の問題を肌で感じました。
高齢化が進み、多様な家族形態がある現代で、高齢者が安心して生活するために自身にできる事がないかと考え「あかり保証」に参画しました。
高齢者本人だけでなく家族、病院、施設、地域が笑顔になれる様に連携を深めサポートさせていただきます。
■株式会社あかり保証 代表取締役・弁護士 清水 勇希(YUKI SHIMIZU)
2016年11月司法試験予備試験合格(大学4年時、21歳時)、2017年3月立命館大学法学部卒業(首席で修了)。2018年弁護士登録(大阪弁護士会)。
2021年~2023年大阪女学院大学・短期大学非常勤講師。2022年~2023年立命館大学非常勤講師(民事訴訟法)。2023年~ 立命館大学エクステンションセンター 法科大学院(ロースクール)講師。2023年~株式会社エアトリ(東証プライム) 社外監査役。2024年~医誠会国際総合病院「観察・介入研究倫理審査委員会」外部委員。
「身元保証業界を変えたい」「身寄りのない高齢者の方に、信頼かつ安心のあるサービスを提供し、一番頼りになる存在となりたい」と思い、株式会社あかり保証を創業。