
近年、「身元保証」という言葉を耳にする機会が増えています。かつては就職や賃貸契約の場面で必要とされるものでしたが、今、注目されているのは終活における身元保証です。
目次
■身元保証サービスとは?
身元保証サービスとは、単身世帯等の方々のために、医療施設や介護施設等に入所する際に、保証人になったり、緊急時の対応を行ったりするサービスを言います。
また、それだけにとどまらず、日常の生活支援や死後の手続きや整理などもサポートし、いわば家族の代わりとしてお客様に寄り添うサービスです。
■終活における身元保証サービスの重要性
近年、日本社会の高齢化が急速に進展する中で、終活の重要性が増しています。高齢者人口の増加に伴い、個人の人生の締めくくりを意識的に準備する必要性が高まっています。
特に、遺産相続や介護問題といった課題が顕在化し、これらに対する事前の準備や対策が不可欠となっています。
しかし、医療機関や介護施設等の入院・入所の際には、本人に判断能力がなくなった場合や緊急時に備えて身元保証を求められることが多いのが現状です。
また、仮に入院、入所ができたとしても、その後の医療同意等の意思決定のサポート、財産管理など数多のハードルがあることは確かです。そのため、身元保証をしてくれる親族がいない、または頼れる人がいない人にとってはその代わりを担ってくれる身元保証サービスが終活にとって非常に重要になっています。
■身元保証でなにができるの?
・後見制度との違い
まず、身元保証と似ているとよく勘違いされる制度として後見制度というのがあります。後見人とは認知症などで判断能力が低下した方の金銭・財産管理や身上監護を行う代理人のことで、緊急時の駆けつけや付き添い、葬儀手続き等の死後の手続きは行いません。
また、後見人は利益相反の可能性から債務の保証をすることや身元引受人になることは基本的にはありません。
一方で身元保証はお元気な時から死後の手続きまで幅広くカバーしており、緊急時
の駆けつけや債務の保証、身元保証の引き受けまで行います。
・身元保証と成年後見の違い(イメージ図)

・身元保証でできること。
では、身元保証ではより具体的にどのようなことができるのでしょうか。厚生労働省作成の「高齢者等終身サポート事業者ガイドライン」には高齢者等終身サポート事業において提供されるサービスの例として身元保証等サービス、死後事務サービス、日常生活支援サービスが挙げられています。
身元保証等サービスとは、医療機関や介護施設の入所の際の手続代行や、身元引受、医療同意に関する意思決定のサポート、緊急連絡先の指定や緊急時の対応など、身体介護にほとんど必須となるサービスを指します。
死後事務サービスとは、葬儀に関する事務や手続代行、墓地の管理や撤去など、お客様がお亡くなりになった後のサービスを指します。
日常生活支援サービスとは、通院の付添いや生活財産の管理などお客様の日常生活におけるサポートを指します。
このように身元保証サービスには多岐にわたるサービス内容が含まれています。もっとも事業者によっては一部のサービスについて提供していない場合もありますので十分注意が必要です。
後見制度 | 身元保証サービス | |
金銭・財産管理 | 〇 | 〇 |
身上監護 | 〇 | 〇 |
身元引受 | 基本的に× | 〇 |
債務の保証 | 基本的に× | 〇 |
緊急時の駆けつけ付き添い等の日常支援 | × | 〇 |
死後の手続 | × | 〇 |
■身元保証サービスの問題点/優良な事業者の基準~
このように、身元保証サービスを導入することで、終活の環境整備がスムーズに行われることになります。
また、多岐にわたるサービス内容から、普段の日常生活においても安心感をプラスすることができます。
他方、2024年6月に高齢者等終身サポート事業に関するガイドラインが制定されるまでは、ガイドラインすら存在しない状況であり、現状もいまだ法規制・監督官庁も存在せず、まだまだ無法地帯な状況にあります。
その結果、「高齢者等終身サポート事業」をめぐり、全国の消費生活センターなどに寄せられる相談件数は年々増加している状況にあります。
主な相談内容は、
(1) 高額な契約を結ばされてしまった、返金が受けられないなどの「金銭トラブル」
(2) 契約に含まれているはずのサービスの提供がなかった等の「サービス利用時のトラブル」
―に大別されます。
また、以下の京都地裁の2020年6月26日判決のように、利用者が認知症であることにつけこんで強引な契約をした疑いがある事例のように、実際に、裁判にまで至っている事例もあります。
【京都地裁の2020年6月26日判決】
契約締結当時89歳で、かつ、アルツハイマー型認知症の症状も見られていた高齢者Xは、
身元保証等高齢者サポート事業者Yとの間で、日常生活支援等を受けるための入会契約を締結したが、本件契約のうち入会金徴収条項および入会金不返還条項は消費者契約法10条に反し無効であること、および本件入会契約自体がXの意思無能力が無効であると主張し、裁判所はXの意思無無能力を理由に本件入会契約を無効と判断した上で、入会金72万円は返還せよと判断した。
図1 京都地方裁判所令和2年6月26日判決のイメージ

・「ガイドライン」が示す最低限の基準
こうした状況を踏まえ、2024年6月、内閣府等は「高齢者等終身サポート事業ガイドライン」を策定し、その中で事業者が遵守すべきチェックリストを以下のとおりを示しました。
そこには、
・預託金は分別管理し、破綻時の返還を担保する仕組みを設けること
・利用者の判断能力低下時の取扱いを定めている
・契約時に死因贈与や寄附(贈与)を条件等とした契約を締結していない
・死因贈与契約を締結する場合、その契約を撤回できることを明らかにしている
・利用者からの相談窓口が設置されており、連絡先が分かる
―などが盛り込まれています。
図2 チェックリスト

しかし、ガイドラインはあくまで努力義務であり、それに反したとしてもペナルティはなく、すべての事業者が遵守しているわけではありません。広告で「安心・安全」とうたっていても、実際にはガイドラインの存在すら知らない事業者もあるのが現状です。
そこで、身元保証業界初の全国規模の業界団体「一般社団法人全国高齢者等終身サポート事業者協会」が、業界の健全化のために、関係各省庁とも連携し、今年11月から本格的に稼働していきます。
同業界団体では、今後、ガイドラインよりも厳しい基準をクリアした業者のなかから、適正な事業者の認定等をして、安心して利用してもらえるよう業界を「見える化」をして業界の健全化をすすめていきます。
・事業者選びの第一歩は「情報の見極め」から
身元保証サービス事業者の安易な選択を避けるためには、まず「情報の質」を見極める必要があります。
・料金体系やサービス内容を契約書で明確にしているか
・預託金の管理方法が第三者によって担保されているか
・ガイドラインを理解し、遵守していると明言しているか
・緊急時に24時間対応できる体制があるか
こうした項目をチェックすべきポイントと考えます。
■あかり保証が選ばれる理由
・法律の専門家によるあんしん体制
あかり保証は、弁護士・司法書士といった法律の専門家、看護師・ケアマネージャーといった医療・介護の専門家による安心と信頼のサービス提供を行っています。
特にトラブルが発生しやすい契約書締結の場面では、法律の専門家である弁護士・司法書士が重要事項の説明や契約書の作成交付等のガイドラインを遵守し、それに加えて、契約書を公正証書化する等、利用者が安心してサービスを享受できるように尽力することでリスクを極限まで減らします。
また、契約締結後、サービスの提供場面においても弁護士監修の下、看護師・ケアマネージャー等の医療・介護の専門家もチームとなって、利用者一人ひとりのニーズに応じた包括的で高品質なサポートを提供します。
・無駄のなく、わかりやすい料金
通常、多くの身元保証サービス事業者は、弁護士が運営母体ではないため、弁護士や司法書士に契約書作成業務等を外注するため、不透明な料金設定となることが多いのですが、私たちは弁護士・司法書士が直接サービスを提供しています。そのため、外注費用がかからず、料金もわかりやすくサービスを提供することが出来ます。
・個別的な財産管理
お預かりした財産は、お客様ごとに個別に信託口座を設定し、個別に信託口座で管理するため、他のお客様の財産との混同がないように努めます。また契約に基づいて、財産状況をお客様に定期的にご報告いたします。このようにお客様の大切な財産がしっかり守られるようにしています。
・公平で誠実なサービス提供
身元保証サービス事業者の中には寄付遺贈を受け取る事業者が存在しています。寄付遺贈が悪いわけではございませんが、お客様が当社に対し、不公平感、不信感を抱かないように、一切の寄付遺贈をいただかない運営をしています。
・業界の健全化に関与(業界団体への参画)
身元保証業界には業界団体もありませんでした。あかり保証は、2025年2月に有志の6社とともに全国高齢者等終身サポート事業者協会準備委員会を発足し、2025年11月に業界初の全国規模の業界団体「全国高齢者等終身サポート事業者協会」を設立し、官公庁・各業界団体とも連携して、業界の健全化に取り組んでいます。
身元保証サービスの問題点 | あかり保証の解決策 |
法整備がされておらず、事業者が好き勝手やれる状況 | 法律の専門家である弁護士・司法書士のガイドラインを遵守した運営 |
お客様の財産が他のお客様の財産と混同する可能性 | 法的に義務を負う弁護士がお客様の財産を個別信託口座で管理 |
遺贈寄付の額によってサービスの内容が変わる可能性 | 遺贈寄付を一切受け取らず、すべてのお客様に公平で誠実なサービス提供 |
■お問合せフォーム
https://www.akarihosho.jp/contact/
■関連記事(【老人ホーム】受け入れ拒否理由3選_身元引受人の提出を求められた場合の対応は?)
https://www.akarihosho.jp/column/441
監修者
■株式会社あかり保証 代表取締役・弁護士 清水 勇希(YUKI SHIMIZU)
2016年11月司法試験予備試験合格(大学4年時、21歳時)、2017年3月立命館大学法学部卒業(首席で修了)。2018年弁護士登録(大阪弁護士会)。
2021年~2023年大阪女学院大学・短期大学非常勤講師。2022年~2023年立命館大学非常勤講師(民事訴訟法)。2023年~ 立命館大学エクステンションセンター 法科大学院(ロースクール)講師。2023年~株式会社エアトリ(東証プライム) 社外監査役。2024年~医誠会国際総合病院「観察・介入研究倫理審査委員会」外部委員。
「身元保証業界を変えたい」「身寄りのない高齢者の方に、信頼かつ安心のあるサービスを提供し、一番頼りになる存在となりたい」と思い、株式会社あかり保証を創業。