■はじめに

 前回のコラム(https://www.akarihosho.jp/column/367/)では、高齢化の進展により、身寄りのない高齢者や単身世帯の増加が社会的課題となる中、高齢者等終身サポート事業が急速に広がりを見せていたこと、一方で、法的な根拠や共通の基準が存在しないことにより、サービス内容の不明確さ、契約の不透明さ、利用者の利益保護の不十分さといった課題が指摘されており、それらを受けて、高齢者等終身サポート事業者ガイドライン(以下「ガイドライン」といいます。)が策定されたことなどについて記載しました。

 今回のコラムでは、ガイドラインの目的・対象・基本的な考え方などの総論的な部分について記載するとともに、利用者にとってもガイドラインは重要であることをわかりやすく説明いたします。

■ガイドラインの目的

 ガイドラインによれば、その目的は、高齢者等終身サポート事業者の適正な事業運営を確保し、高齢者等終身サポート事業の健全な発展を推進するとともに、利用者が安心して当該事業を利用できるようにすることとされています。

 すなわち、ガイドラインは、事業者のためだけに作られたものではなく、利用者自身が、優良な事業者を見極める際の目安ともなり得るものとして位置づけられています。

 ガイドライン別紙には、以下の図のようなチェックリストも掲載されておりますので、例えば、利用者の皆様もこのチェックポイントを確認し、優良な事業者かどうかを自主的に検討するといったことも考えられます。

内閣官房等「高齢者等終身サポート事業者ガイドライン」42頁(https://www.mhlw.go.jp/content/001262636.pdf

■ガイドラインには法的拘束力がないこと

 ガイドラインは、あくまで事業者が遵守することが望ましい事項を記載したものにすぎず、ガイドラインそのものに法的拘束力はありません

 そのため、仮に、高齢者等終身サポート事業者が、ガイドラインに記載された事項を遵守していなかったとしても、何ら制裁が課されることはありません。

 現在は、約400の事業者がいるとされていますが、ガイドラインに記載された事項を遵守しない事業者も中には存在します。実際に、前回のコラムにおいて、消費者トラブルの増加が、ガイドライン策定の経緯にあることについて述べたところです。

 したがって、前述したとおり、利用者の皆様において、ガイドラインの記載事項も参照しつつ、優良な事業者を自身で見極めていく必要性が高いと考えます。
 

■サービス提供にあたっての基本的考え方

 ガイドラインでは、サービス提供に際して事業者が留意すべき基本的な姿勢として、以下のような考え方が示されています。

① 本人の意思を尊重すること
 契約の締結からサービスの提供、終了に至るまで、常に利用者本人の意思を尊重することが求められます。とりわけ認知機能に低下がみられる場合であっても、可能な限り意思を確認し、支援の内容を調整することが望まれます。

② 契約内容・費用の明確化と説明
 サービスの内容、範囲、費用、契約期間、解除の条件などは、あらかじめ文書で明確にし、利用者が理解できるよう丁寧に説明を行うことが求められます。特に複数のサービスが複雑に関与する場合、契約書の整理や説明責任の果たし方が問われます。

③ 業務遂行体制の整備
 契約書類の保管、苦情対応の体制、業務の記録作成など、適切な業務遂行体制を整備することも求められています。事業者内部での役割分担やチェック体制も重要です。

④ 第三者機関との連携
 医療機関・介護施設・成年後見制度・行政機関等と適切に連携を図ることで、支援の継続性と実効性が担保されます。

■まとめ

 今回は、ガイドラインの目的・対象・基本的な考え方といった総論的な事項について記載するとともに、利用者にとってもガイドラインは重要であることについて記載しました。

 次回のコラムでは、契約締結にあたって留意すべき事項など、ガイドラインの具体的内容に踏み込んで検討していきたいと思います。

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 【弁護士解説】なぜ「ガイドライン」が必要だったのか~高齢者等終身サポート事業と身元保証の現在地~
https://www.akarihosho.jp/column/367/

■優良な事業者として「あかり保証」という選択肢を

 「あかり保証」は、運営母体が弁護士・司法書士等の士業という、数少ない高齢者等終身サポート事業者です。契約時の説明・実際の業務についても、士業によってなされています。

 また、士業が母体となることで、公正証書の作成等の契約手数料を外部委託する必要がなく、自社で対応可能なため、シンプルかつ手頃な料金体系でサービスを提供することができます。

 加えて、利用者様の預託金は、信託口座で管理しているため、万が一の場合でも安全に保管されます。さらに、大手身元保証事業と異なり、「あかり保証」は寄付を一切頂戴しておりません。

 政府のガイドラインの全事項を遵守している「あかり保証」は、見守りサービスの事業者様、介護事業者様とも連携して、あかり保証内の看護師・ケアマネジャーとともに、利用者様の意向に寄り添った幅広いサービスをご提案しております。

 身元保証に関する相談などは、下記からお気軽にお問合せください。ご相談料は無料で、弁護士・司法書士が対応いたします。

監修者

■株式会社あかり保証 取締役 弁護士 藤本 拓大(TAKUHIRO FUJIMOTO)
 1994年兵庫県宝塚市生まれ。中央大学法学部を卒業後、司法試験に合格。2019年1月から2025年3月まで、裁判官として、横浜、松江、東京で勤務。2025年4月弁護士登録(大阪弁護士会)・リット法律事務所に参画。
 「身元保証業界を変えたい」「身寄りのない高齢者・障害者の方に、信頼かつ安心のあるサービスを提供し、一番頼りになる存在となりたい」という清水弁護士の思いに共感し、2025年4月、株式会社あかり保証の取締役に就任。