目次
■はじめに
「身元保証」や「高齢者等終身サポート事業」という言葉を耳にされたことはありますか?
近年、医療・福祉・死後事務までを支援するこの分野が急速に注目を集めています。その背景には、高齢化の進展と単身高齢者の増加という社会構造の変化があります。
国立社会保障・人口問題研究所によると、65歳以上の一人暮らし世帯は、2020年の738万人から、2050年には1084万人へと増え、身寄りのない高齢者は約460万になると推計されています。

国立社会保障・人口問題研究所「日本の世帯数の将来推計(全国推計)」
https://www.ipss.go.jp/pp-ajsetai/j/HPRJ2024/hprj2024_gaiyo_20240412.pdf
しかし、こうした終身支援サービスの需要が高まる一方で、制度が追いついていなかったのも事実です。2024年6月にようやく策定された「高齢者等終身サポート事業者ガイドライン」は、何を目的として整備されたのか——本稿ではその背景をわかりやすく解説いたします。
■高齢者支援の現場では、“無償の身元保証”が限界に
身元保証人がいない高齢者が入院や入所を希望する場合、現場ではケアマネジャーや施設職員が“善意”で身元保証や死後事務の一部を担ってきました。
しかし、これは本来の職務外であり、介護現場の過重負担や責任問題を引き起こしてきました。行政もようやく重い腰を上げ、高齢者等終身サポート事業者の役割拡充と制度化に向けた検討を始めることとなりました。
■高齢者等終身サポート事業とは?
「高齢者等終身サポート事業」とは、身寄りのない高齢者を対象に、以下のような支援を提供するサービスです。
• 医療・介護施設での身元保証
• 死亡後の手続や遺品整理などの死後事務
• 買い物代行や通院付き添いなどの日常生活支援
これらのニーズに応えるべく、葬儀業、不動産業、介護事業者、ボランティア団体など多様な事業者が次々と参入しており、全国で500社以上に達していると推定されます。
しかし中には、法的な知見や資金管理能力に乏しい業者も存在しており、消費者被害の温床にもなりかねない状況でした。
■契約トラブル・破綻リスク――日本ライフ協会事件に見る課題
この分野の問題点を象徴するのが、2016年に破綻した「公益財団法人日本ライフ協会」の事件です。
約2600人の契約者から預かった約2億7000万円を流用し、12億円の負債を抱えて破綻しました。契約時に約150万円の支払いしていた契約者に返還された金額は平均してわずか15万円でした。
このように、「身元保証や死後事務の契約」は長期にわたる一方で、費用は契約時に一括払いされることが多く、利用者が本当にサービスを受けられるかどうかの検証が困難です。
さらに、契約者の多くが高齢者であり、判断能力の低下も契約リスクを高める要因となっています。
■制度整備の道のりと、ガイドライン策定の背景
こうしたトラブルを受けて、2017年に内閣府消費者委員会が制度整備を提言しました。2023年には総務省行政評価局が事業者実態調査を行い、消費者保護の必要性が改めて確認されました。
そして2024年6月、「高齢者等終身サポート事業者ガイドライン」が正式に発表されました。
現時点では法的拘束力はないものの、今後の制度化に向けた第一歩として大きな意義を持っています。
次回以降のコラムでは、高齢者等終身サポート事業者ガイドラインの内容を、順次掲載させていただきます。
■優良な事業者として「あかり保証」という選択肢を
「あかり保証」は、運営母体が弁護士・司法書士等の士業という、数少ない高齢者等終身サポート事業者です。契約時の説明・実際の業務についても、士業によってなされています。
また、士業が母体となることで、公正証書の作成等の契約手数料を外部委託する必要がなく、自社で対応可能なため、シンプルかつ手頃な料金体系でサービスを提供することができます。
加えて、利用者様の預託金は、信託口座で管理しているため、万が一の場合でも安全に保管されます。さらに、大手身元保証事業と異なり、「あかり保証」は寄付を一切頂戴しておりません。
政府のガイドラインの全事項を遵守している「あかり保証」は、見守りサービスの事業者様、介護事業者様とも連携して、あかり保証内の看護師・ケアマネジャーとともに、利用者様の意向に寄り添った幅広いサービスをご提案しております。
身元保証に関する相談などは、下記からお気軽にお問合せください。ご相談料は無料で、弁護士・司法書士が対応いたします。
監修者
■株式会社あかり保証 取締役 弁護士 藤本 拓大(TAKUHIRO FUJIMOTO)
1994年兵庫県宝塚市生まれ。中央大学法学部を卒業後、司法試験に合格。2019年1月から2025年3月まで、裁判官として、横浜、松江、東京で勤務。2025年4月弁護士登録(大阪弁護士会)・リット法律事務所に参画。
「身元保証業界を変えたい」「身寄りのない高齢者・障害者の方に、信頼かつ安心のあるサービスを提供し、一番頼りになる存在となりたい」という清水弁護士の思いに共感し、2025年4月、株式会社あかり保証の取締役に就任。