ある夏の夜、80代の男性Aさんが自宅の庭で倒れているところを近所の方が発見し、救急搬送されました。

 待機当番だった私は救急隊からの連絡を受け、急いで病院に駆けつけました。

 検査の結果、手術が必要な状態。病院からは「身元保証人の方の署名と同意が必要です」と告げられます。

 Aさんには遠方に住む息子さんが1人だけ。夜間のためなかなか連絡がつかず、私は医師や看護師から立て続けに説明を受け、緊迫した空気に押されて不安を感じました。

 数時間後、ようやく息子さんと電話がつながり、同意を得て手続きを進めることができました。

 このように「保証人がいないため、必要な医療や介護をすぐに受けられない」というケースは、現場では決して珍しくありません。

 では、なぜ入院や施設入所に保証人が必要なのでしょうか。そして、頼れる家族がいない場合、どんな選択肢があるのでしょうか。

■身元保証人が求められる主な理由

 ①緊急時の連絡先

 病状が急変した際や、治療方針の決定が必要な場面では、ご本人だけでなく第三者との連絡が不可欠です。意思決定が難しい状態になった場合、保証人は重要な相談相手となります。

 ②費用の支払い保証

 入院費や施設利用料が支払えなくなった場合、保証人が支払いを引き受けます。医療機関や施設にとっては、安定運営のために必要な仕組みです。

 ③退院・退所時の生活支援

 ご本人が一人で生活準備を整えることが難しい場合、保証人が新たな住まいや介護体制の手配を支援します。

 厚生労働省研究班が2018年に、全国の医療機関約1,300施設を対象に行った『医療現場における身元保証人に求める役割等の実態把握に関する研究』によると、患者の入院時に「身元保証人を求める」と回答した割合は65%に上りました。

 ベッド数が20床以上の病院においては、「求める」との回答は約90%にも達しています。


■誰に頼めばいいのか

 保証人は、配偶者・子ども・兄弟姉妹など親族が選ばれるのが一般的です。

 しかし、現代では次のような理由から親族に頼めない方が増えています。

 ・独身で親族がいない、または疎遠

 ・家族も高齢や病気で対応できない

 ・子どもが遠方に住んでいる

 ・経済的な負担をかけたくない

 こうした背景から、保証人が見つからず、必要な入院や施設入所が遅れるケースは増加しています。

■保証人がいない時の選択肢

 成年後見制度の利用

 判断能力が低下した方を法的に支援する制度です。ただし、後見人は財産管理や契約代行はできますが、債務保証や身元引受は原則として行いません。

 身元保証会社との契約

 契約に基づき、保証人としての役割を担います。緊急連絡や費用の保証、退院後の生活支援、さらには死後の事務まで対応できる会社もあります。家族に代わる存在として安心を提供できるのが大きな特徴です。

■現場で感じる「身元保証」の重要性

 ケアマネジャーとして高齢者を支援する中で感じるのは、保証人の有無が、その方の選択肢や安心感を大きく左右するということです。

 保証人がいれば、必要な治療や施設入所がスムーズに進み、生活の質も保たれます。

 一方、保証人がいない場合は調整に時間がかかり、安全な環境に移れず、危険な状況を続けざるを得ないこともあります。

 現在、多くの病院・施設・サービス事業所では、身元保証人や緊急連絡先の存在が受け入れの前提条件です。

 おひとりさまの場合、ケアマネジャーがその役割を代行することもありますが、緊急連絡対応にとどまらず、入院費やサービス利用料の支払い、金銭管理まで担うこともあり、本来業務の範囲を超えてしまいます。

 これは現場の負担や法的リスクを増やす大きな要因です。

■まとめ

 入院や施設入所における身元保証人は、単なる形式上の署名者ではありません。

 緊急時の意思決定、費用保証、生活支援と、本人の暮らしを守る重要な役割を担っています。

 家族に頼れない方が増えている今、「身元保証人をどう確保するか」は誰にとっても無関係ではない課題です。

 もし頼める人がいないという状況であれば、信頼できる身元保証会社を知っておくことは、大きな安心につながります。

■信頼できる事業者として「あかり保証」という選択肢

 「あかり保証」は、運営母体が弁護士・司法書士等の士業という、数少ない高齢者等終身サポート事業者です。契約時の説明や業務も士業が直接対応します。

 士業が母体のため、公正証書作成なども自社で対応でき、料金体系はシンプルかつ手頃です。

 利用者の預託金は信託口座で安全に管理され、万一の場合も安心です。大手身元保証事業と異なり、寄付金は一切いただいていません。

 政府のガイドラインを全事項遵守する「あかり保証」は、見守りサービスや介護事業者とも連携し、看護師・ケアマネジャーとともに利用者の意向に寄り添った幅広いサービスを提供しています。



監修者

■株式会社あかり保証 生活支援スタッフ ケアマネジャー・介護福祉士 砂原 仁(HITOSHI SUNAHARA)
 鳥取県で、介護福祉士・ケアマネジャーとして、医療法人、社会福祉法人での勤務や地域包括支援センターの管理者を務める中、地方が抱える問題の一つとして、一人暮らしであったり、子供と疎遠で連絡がつかなかったりする高齢者の住処が定まらない身元保証の問題を肌で感じました。
 高齢化が進み、多様な家族形態がある現代で、高齢者が安心して生活するために自身にできる事がないかと考え「あかり保証」に参画しました。
 高齢者本人だけでなく家族、病院、施設、地域が笑顔になれる様に連携を深めサポートさせていただきます。

■株式会社あかり保証 代表取締役 弁護士 清水 勇希(YUKI SHIMIZU)
 2016年11月司法試験予備試験合格(大学4年時、21歳時)、2017年3月立命館大学法学部卒業(首席で修了)。2018年弁護士登録(大阪弁護士会)。
 2021年~2023年大阪女学院大学・短期大学非常勤講師。2022年~2023年立命館大学非常勤講師(民事訴訟法)。2023年~ 立命館大学エクステンションセンター 法科大学院(ロースクール)講師。2023年~株式会社エアトリ(東証プライム) 社外監査役。2024年~医誠会国際総合病院「観察・介入研究倫理審査委員会」外部委員。
 「身元保証業界を変えたい」「身寄りのない高齢者の方に、信頼かつ安心のあるサービスを提供し、一番頼りになる存在となりたい」と思い、株式会社あかり保証を創業。