目次
■介護現場におけるハラスメントの現状について
職場内での性的な言動または優越的な地位を背景とした言動であって業務上必要かつ相当な範囲を越えたものにより就業環境が害されるハラスメントが少なからず発生しています。
また、職場内だけでなく、過去3年間に患者・利用者・家族から迷惑行為の被害を受けた人は44.4%にのぼっています。

※JOINT介護ニュースより(2025年2月25日)
https://www.joint-kaigo.com/articles/36012/
ハラスメントへの対策は運営基準には記載があるが、減算対象ではないことから、危機感が他の感染症や虐待等とは違い、活発に啓発がされていないことがあります。
こうしたハラスメントは現場の介護職員の離職等を招き、利用者に必要であるサービスが行き渡らない恐れがあります。そうした事態を防ぐためには、施設・事業所でのハラスメントへの対応方針と職員ができることを伝えていく必要があります。
■介護現場におけるハラスメントの具体例
①セクシュアルハラスメントの具体例
サービス提供上不必要に個人的な接触をはかる(体に触れてくる)
性的冗談を繰り返したり、しつこく言う。
わいせつな本を見える位置に置く 等
➁パワーハラスメントの具体例
殴る、蹴るなどといった暴力的な行為
大声を出したり、理不尽な要求をする精神的な攻撃 等
③カスタマーハラスメントの具体例
就業者に対して物を投げつけたりする身体的攻撃
就業者に対して人格を否定したり、人前で名誉を傷つけるような精神的な攻撃
就業者に対してわいせつな言動や行為をするといった性的な言動 等
なお、東京都では、全国初のカスタマーハラスメントを防ぐ条例が成立し、令和7年4月1日から
施行されています。

東京都HPより
https://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/hodohappyo/press/2024/10/28/17.html
まとめると、介護現場におけるハラスメントは大きく以下の類型に分類できます。
ただ、正当な苦情の申立て等はハラスメントに該当しないので注意が必要です。


※株式会社三菱総合研究所「管理者向け研修のための手引き」10頁以下
https://www.mhlw.go.jp/content/12305000/000947344.pdf
■サービス提供困難事例に対する対応
各介護サービス施設・事業所は、基準省令において、「正当な理由」なくサービスの提供を拒んではならないこととされています。
また、サービスの内容を利用者やその家族に理解してもらい、契約解除に至らないような努力が求められます。
しかし、「正当な理由」があるとされた事案によっては施設側がサービスを拒否することも考えられます。そのためにもハラスメントに対する考えや対応が重要となります。
・ハラスメントを理由とする契約解除は「正当な理由が必要」


※株式会社三菱総合研究所「管理者向け研修のための手引き」25頁以下
https://www.mhlw.go.jp/content/12305000/000947344.pdf
■ハラスメント対策への基本的な考え方
・組織的、総合的にハラスメント対策を行う
客観的な判断をし、適切な対応を検討する
・初期対応が何よりも重要
不適切な対応をしたり、先延ばしにして状況を悪化させ、さらにハラスメントを
起こらないようにする
・ハラスメントが起きた要因分析
利用者・家族の現状やこれまでの生活歴といった要因を把握し、事実確認を行うなどで
要因分析を行い、ケースに沿った対策を立てる。
・介護サービスの質向上
利用者や家族との信頼関係構築、利用者の状況に応じた対応をすることでハラスメントの防止に
繋がります。提供者も利用者側どちらもがハラスメントに注意する必要があります。
■介護職員の方のためのサービス提供前、提供時のチェック項目
ハラスメントを事前に防止するためにも、例えば、サービス提供前、提供時に以下の項目に該当しないかどうか、確認することも有用です。
⑴ 利用者の環境によるもの
➀身近にある物品(刃物類やアダルトビデオ等)
例えば、包丁が手の届く距離に置かれている場合、利用者等の状況によって思わぬ使われ方を
されてしまう可能性。
➁ケアを行う場所の状況(出口が遠い、カギを閉める等)
緊急時の避難が遅れたり、助けを呼べない危険性。
③訪問先のペット
放し飼いにされている場合にサービスの妨げになったり、介護職員を襲う可能性。
⑵ 利用者側の状況等によるもの
➀生活歴
暴力行為、攻撃的な言動がある(過去にあった)、家族や周囲の人とのトラブル、訪問時に
酒に酔っている。
➁病気または障害に対する医療や介護等の適切な支援を受けていないこと
アルコール依存症や薬の副作用等。
③提供サービスへの理解
サービスの提供範囲を理解していない、過度な期待。
⑶ 施設・事業者側によるもの
➀提供するサービスの徹底や統一ができていない、職員が契約書・重要事項説明書の内容を
理解していない
➁規則・マナーについての指導、教育不足
③個人情報の不適切な教育
⑷ サービス提供時の施設側
➀基本的な対応(自立支援、適切なケア等)ができているか
➁服装や身だしなみがサービスを提供するのに適しているか(清潔感、機能性)
③サービスに関係のない個人情報の取り扱いが適切か
➃苦情等を受けた際に適切に対応できているか
⑤ハラスメントを受けたと感じた時すぐに相談窓口に相談しているか
■ハラスメント対策について
ハラスメントの行為者は、自身の行動がハラスメントと感じられていることに気づいていないことが多いです。我慢をしても改善が見込めず、心身に支障をきたすような深刻な被害を生まないための行動が求められます
ハラスメント対策として、「自分の身を守るために証拠に残す」ということが重要になります。よくあるご質問として、録音をしてもよいかということがあります。ご自身の身を守るためには、お客様と話すようなオープンスペースでの録音は問題ありません。
録音して証拠を残したという心理的安全という面でも重要になります(ただし、注意することとしては、利用者のトイレなどといった私的スペース、クローズドスペースでの録音、利用者との会話録音をSNS等の不特定多数の者に開示するといったことは行ってはなりません)
また、毅然とした態度で拒否や抗議の意思表示を行うこと(言いにくい場合は書面でも)、相談員や身近な人に相談することも大切です。
■最後に
介護職員の皆様の業務負担を軽減するため、
優良な事業者として「あかり保証」という選択肢を
「あかり保証」は、運営母体が弁護士・司法書士等の士業という、数少ない高齢者等終身サポート(身元保証)事業者です。契約時の説明・実際の業務についても、士業によってなされています。
また、士業が母体となることで、公正証書の作成等の契約手数料を外部委託する必要がなく、自社で対応可能なため、シンプルかつ手頃な料金体系でサービスを提供することができます。
加えて、利用者様の預託金は、信託口座で管理しているため、万が一の場合でも安全に保管されます。
さらに、大手身元保証事業と異なり、「あかり保証」は寄付を一切頂戴しておりません。
政府のガイドラインの全事項を遵守している「あかり保証」は、見守りサービスの事業者様、介護事業者様とも連携して、あかり保証内の看護師・ケアマネジャーとともに、利用者様の意向に寄り添った幅広いサービスをご提案しております。
身元保証に関する相談などは、下記からお気軽にお問合せください。ご相談料は無料で、弁護士・司法書士が対応いたします。
監修者
■株式会社あかり保証 代表取締役 弁護士 清水 勇希(YUKI SHIMIZU)
2016年11月司法試験予備試験合格(大学4年時、21歳時)、2017年3月立命館大学法学部卒業(首席で修了)。2018年弁護士登録(大阪弁護士会)。
2021年~2023年大阪女学院大学・短期大学非常勤講師。2022年~2023年立命館大学非常勤講師(民事訴訟法)。2023年~ 立命館大学エクステンションセンター 法科大学院(ロースクール)講師。2023年~株式会社エアトリ(東証プライム) 社外監査役。2024年~医誠会国際総合病院「観察・介入研究倫理審査委員会」外部委員。
「身元保証業界を変えたい」「身寄りのない高齢者の方に、信頼かつ安心のあるサービスを提供し、一番頼りになる存在となりたい」と思い、株式会社あかり保証を創業。